先日、スタッフ研修としてBrillarが提携している国内の工房で見学ツアーを実施しました。
工房がある山梨県甲府市は『宝石の街』と呼ばれるほど多くの国産ジュエリーを製造する、ジュエリー産業が活発な地域です。
こちらの工房ではBrillarのジュエリーの一部を製造いただいています。
お忙しい合間を縫って1時間ほど見学をさせていただきました。
実際にジュエリーの製作を間近で見るのは初めて、というスタッフも数名おり、学びの多い充実した時間となりました!百聞は一見にしかずとは本当によく言ったものですね…
特別に写真掲載の許可をいただきましたので、初めて見学したスタッフの感想も交えて、見学の様子をレポートします!
1つ1つのリングが丁寧に作られていく様子や、日本の職人さんたちの熟練した繊細な技術を皆様にも垣間見ていただけたら嬉しいです!
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今回見学させて頂いた工程は、結婚指輪や婚約指輪を作る際にもポピュラーな鋳造製法の一つ、【ロストワックス法】というです。
♢データ作成
まずは、デザイナーが作図したものを基に、ジュエリーCADで3Dのデータを作成します。
私たちも知らなかったのですが、同じデザインでもサイズやカラットが変わると、そのカラットやサイズに合わせたデータ作成が必要なのだそうです!
奥が深いですね…
♢樹脂型
ジュエリーCADで作成した3Dデータをもとに、樹脂でできた型(写真右)を生成します。これは、ワックス型を作る為の型で、型の為の型です。
♢ゴム型→ワックス型
先ほどの樹脂型でゴムの型をつくり、そこにワックスを流し込み、ワックス型を作製します。
♢ワックスツリー
ワックス型を1本の木の様につなげて、一気に鋳造工程へ進んでいきます。
この様にすることで、効率的に生産できます。
♢石膏を流し込み電気炉で焼き固めます。
すると、中のワックス型が溶け出し、ジュエリーの形に空洞ができます。
これで石膏型の出来上がり。
♢鋳造の機械
石膏型に金属を流し込み鋳造していきます。
鋳造の機械は2種類あり、金属の種類:金orプラチナによって異なる機械を使用しています。
まず、K18の融点は約900℃、プラチナ950はその約2倍の1765℃と言われているので加熱能力が違うこと、
また、K18は圧力を使用するのに対し、Pt950は粘性がある為、遠心力を使用して固めていくのだそうです。
♢石膏を水で流す
鋳造を終えたら、水の力を利用して石膏を溶かしていき、中のツリーを取り出します。
♢ツリーから外して鋳造製品の出来上がり
ここで、仕上がった鋳造製品に巣がはいっていたり、型どおりに鋳造できているか、ルーペを使って入念に検品します。
♢仕上げ工程
ジュエリーへと仕上げていくには様々な工程があります。
♦石留
石留めにも様々な種類がありますが、こちらの写真は【彫留め】を練習したプレートだそうです。
1つ1つ金属に穴をあけて、モアサナイトストーンをセッティング、周りの金属を使って爪を立てて留めていくという作業。石が落ちないように留めるのはもちろん、留めている時に石が割れないよう加減も必要ですし、見た目も均一に美しく仕上げなければいけません。とても神経を使う作業ですね。
♦レーザー刻印
金性(きんしょう:金の種類)、ブランドロゴや、カラット数、お客様にご希望頂いた文字列などを刻印します。
機械で刻印するとはいえ、打つ場所などは、指輪のデザインを考えながら職人が目で見て決めていきます。
♦磨き
一口に磨きと言っても、様々な工程があります。
金属の表面を締める、丸みを付ける、全体的に磨いて艶を出す…
さまざまな工具や機械を使い分けて、手作業で丁寧に仕上げていきます。
♦検品
磨き残しはないか、寸法は規格通りに作れているか、一つ一つ職人の目と手で確認しながら検品をしていきます。
職人さん達の鋭い眼光がカッコよかったです。
最後に職人の検品で合格したものが製品として私たちの元へ送られ、また私たちもひとつひとつ検品、お包みをしてお客様の元へお届けしています。
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ジュエリーの作製工程、いかがでしたでしょうか?
昔に比べたら、科学の進歩で様々な機械もできて、便利になってはいるのでしょうが、それでもやはり、大部分の作業を人の手と目に頼り、繊細に作られているのだということを、改めて実感しました。
出来上がりの幅や厚み等、事前に決められた規格に沿うように計測しながら、職人の目と手の感覚で微調整。
指先が真っ黒になって汚れるのはもちろん、爪が割れたりなどはしょっちゅうだそうですが、それでも皆さん素手で作業をされていたのは、”感覚” 第一の繊細な作業だからこそなのかもしれません。
そして、私個人としての感想なのですが…
これまで、【ジュエリーの価値】というものを考える際、“無意識”に宝石の種類や大きさ、地金の重さなどで判断してしまうことが多くありました。
しかし、今回の工房見学の経験を通じて、地金も宝石も、職人の技がなければ、ただの石や金属の塊に過ぎないということに、改めて気づかされました。
ジュエリーというのは、職人の手によって魂を宿し、繊細な技術と情熱が込められた芸術作品だからこそ、婚約指輪や結婚指輪、晴れの日といった人生の大切なシーンを彩るアイテムとして、人を魅了してやまないのかもしれません。
私たちのジュエリーが、厳選した素材の素晴らしさはもちろん、この職人の手仕事の素晴らしさについても皆さまの心に響くことを祈っています。
最後までお読み頂きありがとうございました。