Brilliant Journeys - Episode 1. 「好き」が導いたキャリア。ルビオ岩崎デザイン事務所 ルビオ岩崎敬子様
人生の様々なシーンで輝く女性たちのストーリーを紹介するブログ企画<Brilliant Journeys>がスタートしました!このシリーズでは、自分らしいキャリアで輝き続ける方々へのインタビューをお届けします。それぞれの素敵なBrillarとの巡り合わせのエピソードも必見です。記念すべき第一回の今回は、Brillar銀座本店の内装デザインをご担当いただいた、ルビオ岩崎デザイン事務所代表のルビオ岩崎敬子さんにお話をお伺いしました。岩崎さんは、過去にBrillarのジュエリーデザインもご担当いただいています。 ―貴事務所の事業内容と、岩崎様ご自身のキャリアについてお聞かせください。 事業としては、商業空間・オフィス空間などのデザイン設計や、インテリアデザインなどを行っています。 私自身のキャリアと言っても、私は実は、世間で言うようなキャリア設計のようなものを明確に行ったことはないんです。 高校卒業後、絵が好きだったので美大に進みましたが、「将来こういった仕事がしたい」というような明確なビジョンがあったわけではありませんでした。制作に打ち込むのが好きで、「なんとなく将来も、これに近い事を仕事にできたらいいな」というような曖昧な気持ちでした。 専攻も、ただ好きだからという理由で、美大の中では潰しがきかないと言われている油絵科を選びました。さらに3年次では立体に興味を持ち始め、立体のクラスに進みました。 そこで作った卒業制作が有難いことに賞をいただきまして、仲間内でグループ展をやろうという事になりました。そのグループ展に、たまたまその工房の社長さんがいらっしゃって、「うちの工房に入らないか」とお声がけいただいたんです。当時創作意欲に燃えていた私は、もっと色々な素材のことを学びたいと思い、そのままその工房で働き始めました。 その工房は、木工や漆、金工なども扱う複合工房のような場所で、自社でカフェやレストランを手がけたりもしていました。私は見よう見まねで金工を始め、飲食店の内装などにも関わり、そこからインテリアの世界に入って行きました。 ―まるでご自身の気持ちに導かれたようなキャリアパスを歩まれたのですね。そこからご自身の事務所を立ち上げられるまでの経緯は、どのようなものだったのですか? 金工というのは、金属を熱したり叩いたりと、かなり体を酷使する仕事でもあります。10年間ほどはそういった肉体労働もあったので、体が悲鳴を上げてしまって。自分を見つめなおしたいと感じていたタイミングでもあったので、工房を辞め、ニューヨークに移りました。 ニューヨークでは、語学も学びつつ、まずは自分の体を休めるオフの時間を過ごしました。それからは、その時々のご縁で、カフェの立ち上げや商品開発など、フリーで様々なお仕事に関わらせていただきました。それまでにやったことが無かった様々なことにチャレンジさせていただいたこの期間は、今の自分の底支えになっていると感じます。 帰国後も個人事業主としてのお仕事を続け、2017年に法人化しました。 ―そうだったのですね。会社や組織に属することなく、フリーでお仕事をされることを選んだのには、何か理由があったのですか? 単純に、自分の性質にはこの働き方が合っていたのではないかなと思います。 私は疲弊すると燃え尽きてしまう性分なのですが、クリエイティブなお仕事は、燃え尽きて創作意欲が湧かなくなってしまうと続けることができません。 ではどうしたら無理なく続けられるかなと考えた時に、自分の裁量で仕事ができるフリーのような働き方が良いと思ったんです。 ―岩崎様にとっては、ご自身のペースでできる働き方というのがベストな選択だったのですね。岩崎様はBrillar銀座本店の内装を手がけられていますが、Brillar銀座本店のコンセプトはどのようなものでしたか? Brillarさんの場合、モアサナイトという宝石自体が強い個性を持っているので、それをうまく伝えられる形にしたいと考えました。モアサナイトは宇宙から来た鉱物なので、鉱物感と宇宙感を感じてもらえるようなデザインを意識しました。 ―デザインされる中で大変だった事や苦労された事はありますか? デザインは、クライアント様と一緒に作り上げるものです。また、予算や、テナントビルによって出来る事/出来ない事の制限もある中で、ベストなものを作る必要があります。 Brillarさんの場合も、そういった制限の中で、Brillarさんの魅力を最大化するのにとても苦労しました。とくに、ファサード(正面の外観)の装飾については、内装費用との兼ね合いや納期とのせめぎあいの中、何度も何度も提案や制作をやり直したのを覚えています。 工事に入ってからは、お付き合いが初めての施工会社さんとのやり取りの中で、家具との取り合いや収まりの想定外もありました。それでも、工事に関わる皆さんが、それぞれの経験の中から知恵を絞って協力してくださり、うまく纏めることができました。 <完成した銀座本店。鉱物感を感じつつも洗練されたデザインになっている> あとは、天井のステンレスメッシュの装飾があるのですが、これはかなり苦労しました。 鉱物と宇宙というテーマに合うよう、イメージに合う素材を探して、探して… やっと辿り着いたのが、このステンレスメッシュでした。 しかし、ステンレスメッシュは想像以上に扱いが難しく、内装業者さんと一緒に、気が遠くなるような取付作業を深夜まで行いました。 メッシュはいったん皺が寄ると元に戻らないため、天井に取り付けた大量のフックに慎重に取り付ける必要がありますが、取り付け中に皺が寄ってしまい、再度メッシュの切り出しからやり直し…と、本当に大変な作業でした。 最終的には、布では出せない優雅な宇宙感を演出でき、最高の仕上がりにできたと思います。...